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相続人が複数いる空き家は、どうやって売るのですか?

相続空き家注意点公開日: 2026年9月15日

きょうだいで相続したけれど、話がまとまらない。このままにしておいていいのか、気になりますよね。

まず結論

遺産分割までは、相続財産は相続人の共有です(民法第898条)。不動産そのものを売るには全員が関与します。

協議が調わないときは家庭裁判所に分割を請求できます。共有のまま進む場合は共有の規定が適用されます。

まず、いまどういう状態かを確認します

民法第898条第1項は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と定めています。第2項は、相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第900条から第902条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とするとしています。

つまり、遺産分割が終わるまでは、その空き家は相続人全員の共有 です。

話し合いが調わない場合

民法第907条第1項は、共同相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合などを除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる としています。

第2項は、協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部または一部の分割を 家庭裁判所に請求することができる と定めています。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合の一部分割については、この限りではありません。

「話がまとまらないから何もできない」わけではありません。 家庭裁判所への請求という道が条文にあります。

登記の期限は、分割を待ってくれません

話し合いが長引く場合でも、登記の期限には対応する方法があります。ただし、一度対応すれば終わりというものではありません。

起算点 自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日

原則(第76条の2第1項) その日から3年以内に所有権の移転の登記を申請する

分割がまとまらない場合(第76条の3第1項・第2項) 登記官に「相続が開始した旨」と「自らが相続人である旨」を申し出る
→ 3年の期間内に申出をした者は、登記申請義務を履行したものとみなされる

その後、遺産分割で取得したとき(第76条の3第4項) 遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請する

先に法定相続分での登記をした場合も、その後の遺産分割で相続分を超えて取得したときは、分割の日から3年以内に登記が必要です(第76条の2第2項)。

相続登記の期限と、分割が長引く場合の対応の順番です。

共有のまま進める場合の制約

遺産分割をせず共有のままにしておくと、共有に関する規定が適用されます。

なお、自分の持分だけを譲ることについては、これらの条文の対象に当たらないと解されています。共有持分そのものの扱いについては、共有持分の売却で詳しく整理しています。

進め方の順番

  1. 登記事項証明書と戸籍で、相続人を確定する
  2. 相続の開始を知った日を確認する(3年の起算点)
  3. 遺産分割の協議を始める。全員が売却に賛成できるなら、選択肢は最も多くなります
  4. まとまらない場合は、家庭裁判所への請求を検討する(民法第907条第2項)
  5. 期限が近い場合は、相続人である旨の申出で対応する(不動産登記法第76条の3)
  6. 査定は分割の前でも受けられる。金額の見当がつくと話し合いが進む場合があります

状況ごとに使える手続

相続人が複数いる場合に関わる規定(2026年9月時点)
状況できること根拠
遺産分割が済んでいない相続財産は相続人の共有民法 第898条
協議で分割するいつでも協議で分割できる民法 第907条第1項
協議が調わない/できない家庭裁判所に分割を請求できる民法 第907条第2項
共有のまま管理する持分の価格の過半数で決する民法 第252条第1項
共有のまま変更を加える他の共有者の同意が必要民法 第251条第1項
登記の期限が近い相続人である旨の申出で義務を履行したものとみなされる不動産登記法 第76条の3第1項・第2項
申出の後に遺産分割で取得した分割の日から3年以内に登記を申請する(過料の対象)同法 第76条の3第4項・第164条第1項

この記事の情報源

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